【キーウ、ウィーン共同】米ブルームバーグ通信は9日、関係者の話として、ロシア軍の攻撃でウクライナのガス生産の約60%が失われたと伝えた。ウクライナは厳冬期のエネルギー需要に向け、来年3月までに約22億ドル(約3367億円)のガスを輸入する必要があるとしている。
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は9日、ロシアが占拠し、外部電源の喪失が続くウクライナ南部ザポリージャ原発について「復旧に向けたプロセスが開始された」と述べた。
原発近くで発生した軍事活動により9月23日に送電線が損傷し、非常用ディーゼル発電機で原子炉を冷却し対応していた。グロッシ氏は、送電線の完全復旧にはまだ時間がかかるとしている。
ロシア軍は今月2~3日、ウクライナ東部ハルキウと中部ポルタワ両州のガス施設を一斉攻撃。2022年2月の侵攻開始以来、ウクライナ国営ナフトガスに最大の被害が出た。ブルームバーグによると、攻撃が続いた場合、来年3月末までに44億立方メートルのガス輸入が必要となる可能性があり、これは年間消費量の約20%に相当するという。