筑波大と電気通信大などのチームは23日、骨がない昆虫にも人間と同様にカルシウムを貯蔵する器官があると英科学誌ネイチャーに発表した。食べ物からのカルシウム摂取が不足した際に、体内のカルシウム濃度を調整する仕組みがあることも分かったとしている。
カルシウムは全ての動物にとって必要不可欠なミネラルで、筋収縮や神経活動など生きる上で必要な生理機能を支える。人間を含む脊椎動物は食べ物からカルシウムを摂取し、ホルモンが体内の濃度を調整する。一方、カルシウムを蓄える骨を持たない無脊椎動物のメカニズムは不明だった。
研究チームは、キイロショウジョウバエの一部が通常より細長いさなぎになることを発見。実験で幼虫にカルシウムを含まない餌を与えたり、特定のホルモンの動きを抑制したりすると、運動能力が低下し、細長いさなぎが現れたため、体内のカルシウム濃度を調整する仕組みがあることが分かった。
将来的には、カルシウム代謝異常の治療法や創薬研究に役立つと見込んでいる。