【ベルリン共同】ドイツのメルツ首相が過去の政権の移民政策を失政と批判し、各地で不法移民らの姿が目撃されることを念頭に「いまだに景観の問題が残っている」と発言し、激しい論争に発展している。連立与党内では差別的だとの反発が広がり結束が揺らぐ一方、世論調査では発言を支持する回答が多数派だ。
メルツ氏は14日にベルリン近郊での記者会見で、反移民の右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の台頭への対応を問われた。自身の移民政策厳格化の成果を強調した上で「景観の問題」が残っていると指摘し、不法移民の送還をさらに強化する考えを示した。
これに対し、ベルリンなど複数の都市で発言に抗議するデモが発生。メルツ氏の保守、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と連立を組む中道左派、社会民主党(SPD)のクリンクバイル副首相兼財務相も22日の会合で強い不快感を示した。
一方、公共放送ZDFが24日に公表した世論調査では、メルツ氏の発言について「正しい」と回答した人が63%に上り、「正しくない」の29%を大幅に上回った。
