愛知県美浜町議会は11日、理不尽な要求をするカスタマーハラスメント(カスハラ)を町職員が受けたとして、住民1人に400万円の損害賠償を求め提訴するとの町提出議案を全会一致で議決した。町は「他の住民への行政サービスに著しい支障が出ている」などと理由を説明した。
名古屋地裁半田支部に訴えを起こす予定。町によると、カスハラを理由に自治体が住民を訴えるのは珍しいという。
町は、今後も行為をやめるよう働きかけた上で、改善されない場合は提訴する方針。400万円は、職員が対応に要した時間に対する給与相当額などとした。
町によると、町内の男性1人が、近隣住民との土地の境界を巡るトラブルの解決や、建物の耐震化に関する補助金申請が退けられたことに関し、町が対応できない過度な要求を、窓口や電話で求め続けた。少なくとも5年以上に及んだという。
町の幹部は11日の議会で「不当な要求や対応の強要、誹謗中傷などが繰り返されており、電話応対や資料作りなどに職員の膨大な労力が割かれている」と説明した。
