警察庁は21日、警察署などの電話を装った特殊詐欺電話に、国内の通信会社が提供するIP電話回線が悪用されていたと発表した。警視庁の捜査で判明した。同社のシステム設定に誤りがあり、2~3月に約197万件の電話がかけられ、少なくとも約2800万円の詐欺被害があった。
通信会社は東証プライム上場の「アイ・ピー・エス」の子会社「アイ・ピー・エス・プロ」(東京)。警察庁は同日、再発防止策を講じるよう要請した。同社は取材に「想定外に回線が悪用され遺憾だ。設定の不備や、不正な利用をすぐに認知できなかったことを重く受け止め、再発防止に真摯に取り組む」とコメントした。
警察庁によると、同社は2月、海外の事業者との間で「050」の番号で始まるIP電話1回線の利用契約を結んだ。この業者が詐欺グループ側に回線を提供したとみられる。特殊詐欺電話は警視庁本部や新宿署、総務省などの代表番号を表示させ、かけられていた。
IP電話はインターネット回線を使って通話でき、設定により実際とは異なる番号を表示させることもできる。
