クリープハイプの尾崎世界観らが、「人と無機物のセックス」をテーマにした濱野ちひろ氏の新刊『無機的な恋人たち』(講談社)にコメントを寄せた。
【画像】『無機的な恋人たち』著者の濱野ちひろ氏
同作は、2019年に人間と動物の性愛を描いた『聖なるズー』でデビューしたノンフィクションライター・濱野氏の新刊。書き下ろしノンフィクションで、人は「人以外」と愛し合うことはできるのか?セックスロボットが普及すると人々のセックス観はどう変わるのか?などと問う。AIに恋をする人々が出てきている今だからこそ、「無機物とのセックス」を通して、近未来社会の「性と愛」を予見する内容となっている。
尾崎は「ずっとビニールをめくっているみたいな、この不思議な読み心地が癖になる」などとコメント。このほか、映像ディレクターの森達也氏、研究科でエッセイストの田中優子氏、人類学者の山極寿一氏、小説家の吉村萬壱氏もコメントを寄せた。
◆森達也氏
まずは言いたい。深い。とても深い。
人にとって性愛とは何か。そして愛とは何か。
僕たちがDNAを運ぶだけの乗りものならば、なぜこれほどに惑い、悩み、傷つき、悶えるのか。
人はなぜこれほどに複雑なのか。なぜこれほどに切ないのか。
その解が、人の本質の断面が、じっと動かないラブドールの視点から見えてくる。
◆尾崎世界観
ずっとビニールをめくっているみたいな、この不思議な読み心地が癖になる。
ここに出てくる一人一人に好奇や憐れみの目を向けたり、驚いたり、感心したり、憤ったり。
まるでルーレットのように、忙しく回り続ける感情の正体は「魂」だ。
知らない世界を知るたびに震えるこの魂を失くしたら、もう自分ではいられない。
そしてまたビニールをめくりながら、大丈夫まだ「人」だと安心する。
◆田中優子氏
本書で見えてくる世界は、なんと想像力と深い思いに満ちていることだろう。
その世界で、人工物は確かに存在し始める。人に新しい世界を開き、新たな人間関係をもたらす。
存在とは何か? と問いたくなる。
見事に逸脱を描き、人と違うことが、いったいなんだっていうのか? と叫びたくなる。
差別や排除が豆粒のように小さなものに見える。
『聖なるズー』で丁寧な対人取材をした濱野ちひろ氏は、また困難なテーマで、さらに一人一人に深い敬意を払いつつ、人に迫って行ったのだ。
◆山極寿一氏
現代はセックスと恋愛が分離しつつある時代だ。
ラブドールやセックスロボットなど無機物を対象にする人が増え、自分本位で傷つかない性愛の世界が作られつつある。
著者が挑戦するのはその世界に埋没し、快楽を求める人々の生の姿だ。
そこには身体を超え、時を超える新しい性の広がりがある。
本書の探求を通して、私たちは改めて機械が人間になろうとしている時代の性にまつわる未来を垣間見ることができる。
◆吉村萬壱さん
等身大人形は単なる代用品ではなく、彼らとの愛と創意に満ちた暮らしは実に人間的だ。
著者の体験的取材は更に、一般に正しいとされる異性愛や人間性愛が、相手を無機物のように扱う身勝手さや暴力を秘めている事実をも逆照射する。
我々の性愛は本当に自由なのか?
相手を思いやる創造的関係の構築を、他ならぬ異種混交的世界の中に見出す視点が抜群に面白い。
本書は、他者依存の奴隷的呪縛からの解放を謳い上げた抵抗の書だ。
クリープハイプ・尾崎世界観ら、『無機的な恋人たち』濱野ちひろ氏新刊にコメント「感情の正体は『魂』だ」【全文】
2025/10/10 19:17
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