都内で開催中の「第38回東京国際映画祭」で29日、黒澤明監督作『羅生門 4Kデジタル修復版』が上映された。会場となった TOHOシネマズ日比谷シャンテ には多くの外国人観客の姿が見られ、上映後には大きな拍手が沸き起こった。
【写真】いい笑顔!黒澤明研究の第一人者である西村雄一郎氏
同映画祭では、4年前に「黒澤明の愛した映画」コーナーを創設。日本を代表する映画監督・黒澤明は、生前「黒澤シアター」という映画館を持ちたいという夢を語っていたという。上映後のトークイベントで、黒澤監督を伯父に持つ映画評論家で黒澤明賞コーディネーターの島敏光氏は、当時の監督の言葉として次のように紹介した。「日本では『いいな』と思う映画ほど長く上映されない。そして古い、いい映画を見る機会が少なくなっている。だから自分はそういう映画を多くの人に見てもらいたい。そういう黒澤シアターを作りたい」。
ゲストとして、黒澤明研究の第一人者として知られる映画評論家の西村雄一郎氏も登壇。「久しぶりに見たけど、あれ?三船さんの声がちゃんと聞こえるとびっくりしたね。普段聞き取れないですからね」と4Kリマスター版の鮮明な音声に驚きの声をあげた。1950年の初公開以来、白黒映画ならではの劣化やせりふの聞き取りづらさが映画ファンの間でも指摘されてきたが、今回のリマスターをもってその状況が改善されている。
本作は、1950年に公開された三船敏郎・京マチ子出演の黒澤明の代表作。ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞して以来、その斬新な構成とテーマ性で世界的評価を受けてきたが、国内では当初「ミステリーだと思っていた」「結末が想定していたものと違う」といった反応もあった。西村氏は「人間というのは自分の都合のいいことしか言わないというテーマが、4人の話が語られた後、結末がなくぼんと放り投げられたかのような構成で描かれている。だからこそ世界に受け入れられた」と名作の背景を解説した。
島氏は「当時の日本人から見たら、ちょっとモヤモヤする映画だったでしょうね。形式そのものがまだなかった。今見れば本当にわかりやすい映画に感じるけど」と振り返った。
また西村氏は撮影技術にも言及し、「有名な雨のシーンでは、消防ポンプの中に墨汁を入れて黒い雨を降らせたという逸話があります。さらに太陽に向けてカメラを向けるのは当時タブーだったが、そのショットを敢えて撮っている。それが“太陽移動ショット”として世界的に、まねされた」とその革新性を語った。
黒澤明監督の名作『羅生門』4K修復版、東京国際映画祭で上映「三船さんの声がちゃんと聞こえる!」
2025/10/30 13:46
- 映画
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