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住友ゴムとNEC、世界で競争力のある研究開発基盤の構築に向け、 戦略的パートナーシップ活動を加速

2025/11/26 10:01

  • 住友ゴム工業株式会社
  • 新技術・研究開発・特許
~先行実証としてAIを活用した材料配合予測と新材料探索を実施し、成果を確認~

2025年11月26日

 

住友ゴム工業株式会社

日本電気株式会社

 

住友ゴムとNEC、世界で競争力のある研究開発基盤の構築に向け、 戦略的パートナーシップ活動を加速 ~先行実証としてAIを活用した材料配合予測と新材料探索を実施し、

成果を確認~

 

 住友ゴム工業株式会社(以下 住友ゴム、注1)と日本電気株式会社(以下 NEC、注2)は、本年7月に発表した戦略的パートナーシップ締結(注3)で掲げた「世界で競争力のある研究開発基盤の構築」に向けて、活動を加速します。

 

 具体的には、2030年までに変革すべき注力テーマを定め、NECが有するAIをはじめとした先端技術や研究者の高度な技術知見と、住友ゴムの研究開発力を組み合わせることで、世界的に競争力のある研究開発基盤の構築とビジネスの早期実現を目指します。また注力テーマのうち、疑似量子アニーリング技術(注4)を活用したタイヤ材料の配合予測と、AIエージェントおよび材料探索ソリューションを活用した新材料の探索において先行実証を行い、有効な成果を得ました。

 

【背景】

 近年、製造業ではグローバル競争が一層激しさを増しており、持続的な競争優位性を確立するためには、研究開発活動の高度化・迅速化がますます重要となっています。

 住友ゴムとNECは、2022年からタイヤ開発を高度化させるタイヤ開発AIプラットフォームの構築を進め、匠(熟練設計者)のノウハウをAI化し技能伝承と技術開発体制を強化するなど(注5)、従来から共創活動に取り組んできました。

 今回の戦略的パートナーシップはこれまでの共創活動をさらに発展させ、住友ゴムの研究者や技術者の暗黙知を取り入れた先進的AIエージェントを開発し、長期経営戦略R.I.S.E. 2035の実現に向け、研究開発基盤の高度化を推進します。

 

【先行実証の概要】

 今回、研究開発基盤の高度化に向けた先行的な取り組みとして、タイヤ材料分野に関する2つの実証を実施しました。実証の結果、タイヤ材料分野へのAI活用が開発プロセスの高度化・効率化を加速する可能性を確認しました。

 

1.疑似量子アニーリング技術を用いたタイヤ材料の配合予測

 高度な性能が求められるプレミアムタイヤ用ゴム配合の開発には、多種多様な素材の配合比率を最適化することが不可欠です。

 本実証ではまず、住友ゴムの有する過去の実験データから、素材の種類と配合量が材料特性に与える傾向を分析・抽出しました。次に、抽出した本傾向をもとに、膨大かつ複雑な組み合わせの中から高速に最適解を導くことが可能なNECの疑似量子アニーリング技術を活用して、目標とする特性を満たす素材の種類と配合候補を網羅的に探索しました。

 その結果、住友ゴムが過去に開発したプレミアムタイヤ用ゴム配合と、本探索で予測した複数の配合案の特性を比較したところ、目標とする特性項目の90%以上を満たすゴム配合案を導出できることを確認しました。また、非熟練者が同等の配合案を導出する際に要する時間と比較して、約95%短縮できることを確認しました。

 本技術を活用することで、通常タイヤからプレミアムタイヤまで、すべてのカテゴリーのタイヤ用ゴムの配合開発を、熟練度に関わらず効率化できることが期待されます。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202511259802-O2-6D0oMX75

疑似量子アニーリング技術を用いたタイヤ材料の配合予測

 

2.AIエージェントと材料探索ソリューションを用いた新材料の探索

 先進的な新材料の探索には、複数分野にまたがる膨大な文献の調査が求められますが、異なる分野から有益な材料やその組み合わせを発見することは非常に困難です。

 本実証では、高度な性能が求められるプレミアムタイヤの新たな材料探索を目的に、AIに関する知見が豊富なNECの研究者が住友ゴムの材料開発者と共創し、材料探索における思考プロセスや暗黙知を抽出して、それらを学習させたAIエージェントを構築しました。そして、本AIエージェントが、生成AIとグラフベースAI(注6)を組み合わせた材料探索ソリューションを活用し、材料候補の絞り込みを行いました。

 具体的には、従来の知見だけでは開発が困難な、「水に触れるとタイヤ表面のゴムが軟らかくなるプレミアムタイヤのゴム材料」をモデルとして検証を行いました。実証の結果、AIエージェントが様々な言語の公開文献から材料開発の知見を集約・解析するともに、関連情報などの深い情報も自律的に収集し、候補材料の探索範囲を拡大しました。また、重要要件の未反映や探索範囲の限定により手戻りが発生していた人手での作業に対し、探索にかかる期間を60~70%削減できました。これにより、精度と網羅性を向上させ、従来の手法では発見が困難だった新しい材料候補を効率的に見出せることを確認しました。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202511259802-O4-ocl62tNw

 

AIエージェントと材料探索ソリューションを用いた新材料の探索

 

【今後の展望】

 両社は戦略的パートナーシップに基づき、2件の先行実証や他の技術も含めて活動を発展させます。2030年までにAIで高度化された研究開発スタイルを構築するとともに、社会課題の解決につながる新たな事業やイノベーション創出も目指します。

 

 住友ゴムは長期経営戦略「R.I.S.E. 2035」(注7)のもと、「ゴムから生み出す“新たな体験価値”をすべての人に提供し続ける」事を目指しています。この戦略の一環として、新たな領域への挑戦を進めており、今回のNECとの戦略的パートナーシップ活動の中から当該領域におけるイノベーションを創出し、当社のPurposeである「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる」を実践していきます。

 

 NECの新規事業開発は、「仕掛けよう、未来。」をキーメッセージに、スタートアップやパートナー企業との多彩な共創を通じた「NEC Open Innovation」(注8)を推進しています。住友ゴムとの戦略的パートナーシップにおいては、研究開発部門が取り組む経営課題を起点に、研究開発と事業がつながる業務をAIによってデータ駆動型に革新するソリューションの創出を目指します。

 

(注1)本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:山本悟

(注2)本社:東京都港区、取締役 代表執行役社長 兼 CEO:森田隆之

(注3)2025年7月14日発表プレスリリース「住友ゴムとNEC、世界で競争力のある研究開発基盤

構築と、新たな事業機会の探索・創出に向け、戦略的パートナーシップを締結」:

https://jpn.nec.com/press/202507/20250714_01.html

(注4) 量子コンピュータの仕組みを模倣し、通常のコンピュータで複雑な最適化問題を効率的に解

く技術

(注5)2022年11月15日発表プレスリリース「タイヤ開発における体系化が困難な匠のノウハウを

AI化」:https://jpn.nec.com/press/202211/20221115_01.html

(注6)グラフベースAI: https://jpn.nec.com/techrep/journal/g19/n01/190121.html

(注7) 長期経営戦略「R.I.S.E. 2035」: https://www.srigroup.co.jp/newsrelease/2025/sri/2025_014.html

(注8)

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202511259802-O6-9124DGZJ

https://jpn.nec.com/innovation/index.html

 

<本件に関するお客様からのお問い合わせ先>

住友ゴム 広報部 

(東京)電話:03-5546-0113 (神戸)電話:078-265-3004

E-Mail:PR.az@srigroup.co.jp

 

NEC ビジネスイノベーション統括部

E-Mail:milcsg@bdd.jp.nec.com

 

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