【#311jp・地方紙協働企画】処理水海洋放出、賛否割れる

 

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から12年を迎えるのを前に、福島民友新聞社「みんゆう特命係(ゆう特)」など読者とつながる報道に取り組む全国16の地方紙は、東京電力福島第1原発からの処理水海洋放出などについてのアンケートを実施した。処理水の海洋放出については賛否が割れたほか、福島県について関心があること(複数回答)の項目では、「原発事故の廃炉作業」が31.2%で最多となった。

 アンケートは震災10年を迎えた2021年から取り組む協働企画「#311jp」の一環。無料通信アプリLINE(ライン)や紙面で呼びかけ、2月1~14日に45都道府県と海外から計3230件の回答があった。

 福島第1原発の処理水を今年春から夏ごろに海洋放出する政府方針については「賛成」「やむを得ない」が合わせて45.2%で、「できればやめてほしい」「反対」の48.4%と拮抗(きっこう)した。

 また、福島県の今について関心があること(複数回答)の設問では「原発事故の廃炉作業」が2年続けて最多となったが、昨年よりは11.8ポイント低下した。次いで「地震、津波からの生活の復興状況について」が28.0%、「避難区域の現状について」が15.0%だった。

 原発政策の在り方については3年続けて質問。21、22年の結果を参考値として比較した。「積極的に廃炉とし、脱原発を急ぐべきだ」が最多の27.7%だったが、昨年からは7.7ポイント低下した。一方、原発活用を容認する回答の合計は22年比10.6ポイント増の56.6%となり、初めて半数を超えた。電気料金高騰の中、原発活用を望む声が増える結果となった。

 アンケートでは、東日本大震災にどの程度関心を持っているかについても3年続けて尋ねた。6段階のうち最高の「6」が30.5%で昨年とほぼ同じとなった。震災10年の節目だった21年の52.9%と比べると低下傾向を示した。

 アンケートは多様な意見を聞き取るのが目的で、無作為抽出で民意を把握する世論調査とは異なる。「#311jp」は「オンデマンド調査報道(JOD)」パートナーシップの加盟社で実施した。

 16紙=福島民友、岩手日報、河北新報、福島民報、下野新聞、新潟日報、北陸中日新聞、福井新聞、信濃毎日新聞、岐阜新聞、静岡新聞、京都新聞、愛媛新聞、高知新聞、西日本新聞、熊本日日新聞