サーミ人被ばく量と健康

 

 チェルノブイリ原発事故後、サーミという民族は放射能に汚染されやすいトナカイを常食としていたため、高い内部被ばくが計測されていたことを前回、紹介しました。

 そのようなサーミ人に対して、発がんリスクの調査が以前からいくつか行われています。驚くべきことに報告されている全ての論文で、サーミ人の方が、サーミ人以外よりもがんの発生率または死亡率が「少ない」ことが示されています。

 いくらでも内部被ばくして良いとか、放射線は体に良いかもしれないとか、そういう話ではありません。この結果は、普段通りの生活習慣を維持し、安定した日常を送ることがいかに健康維持に重要かを示しています。

 被ばくを少なくするのは、健康を維持するためですが、健康は被ばくを少なくするだけでは実現しません。日々の生活環境と習慣、これが健康の大部分を決めていると言っても過言ではありません。