被ばく量に決まった限度

 

 19世紀末のレントゲン博士によるX線の発見以来、放射線を受ける「量」がどれくらい以上にならないよう目指すべきか、といった放射線防護に関する決まりも徐々に決まっていきました。

 放射線を仕事で扱う人の被ばく量が増えすぎないように管理しようとする試みは、今から約90年前、X線やラジウムを扱う人を対象に始まりました。その当時の決まりは現在よりも数十倍も緩いものでしたが、その後何度も改訂を経て徐々に厳しくなっていきました。

 現在では放射線を取り扱う仕事をする人は、被ばく量の限度として5年間で合計100ミリシーベルト(1年間の平均が20ミリシーベルト)と決まっており、かつ5年のうちのいかなる年も50ミリシーベルトを超えてはいけません。仕事上で放射線を取り扱う人に対してなので、われわれが日常生活で見聞きするような放射線の量の一、二桁大きい値まで許可されています。

 しかし、放射線を使わないどんな仕事でも、事故などで仕事により命を落としてしまう危険性は残念ながらゼロではありません。放射線を扱う仕事をする人の被ばくによる危険性が、ほかの放射線以外の仕事をしている上で命を落とす危険性と変わりがないように、被ばく量の限度が決められたことが知られています。