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小野武彦さん主演「シェアの法則」伊達で上映へ 大家役、住人は多様

2025/03/16 08:00

初の主演映画である「シェアの法則」上映会への来場を呼びかける小野武彦さん
「シェアの法則」の一場面(©2022 ジャパンコンシェルジュ)

 妻の代わりに突然シェアハウスの大家となった夫に起こる変化を通し、多様な背景を持つ人々が認め合う社会の大切さを描いた映画「シェアの法則」の上映会が4月6日、伊達市ふるさと会館で開かれる。夫役の俳優小野武彦さん(82)にとって、今作が映画初主演作。伊達市は小野さんの妻の出身地で、自身もたびたび訪れているゆかりの土地だ。上映会にも来場し友人の俳優石倉三郎さんとトークショーを行う予定の小野さんに、作品の魅力や本県への思いを聞いた。

 俳優歴60年

 テレビドラマや映画、舞台で活躍している小野さんは今年で俳優歴60年。映画だけ主役経験がなかったといい、話が来たときは「素直にうれしかったです。年寄りが主役の映画があってもいいな、と思いました」と笑顔で振り返る。

 演じたのは個人事務所を開いている頑固な税理士で、入院した妻からシェアハウスの大家の仕事を任される。住人はシングルマザーや不法滞在の外国人女性、外資系会社員女性、劇団員の男性や引きこもりの男性などさまざま。主人公の息子は同性愛者で、父子が疎遠になっているという設定だ。

 「いまの世の中の問題をたくさん含んでいる作品です」と小野さん。主人公は住人と衝突しながらも大家として彼らを『観察』せざるを得なくなる。各自の問題に気づいて対応するうちに自身の頑固さがほぐれ、住人や息子との関係が変化していく様子を、小野さんが「主人公が自然に変わっていくように」と演じた。

 手間かけ相手を理解

 役をきっかけに、自身にも変化があった。主人公について「自分はあれほど頑固じゃないよね」と妻に聞いたところ、「似たり寄ったり」と返されたという。それ以来、こだわりや先入観を捨てて、ニュートラルな対応を心がけている。「世の中は自分と同じ考えの人ばかりじゃありません。相手を理解するために、手間がかかるけれどコミュニケーションが大切ということを、作品を見る人にも感じてほしいです」

 一昨年10月の公開以降、各地で上映が「じわじわと、ずっと続いている」という。初主演作にかける小野さんの思いは熱く、舞台あいさつやイベントに積極的に参加して観衆と交流している。

 昨年は映画の1年後を描いた短編「それからの日々」の制作を自ら提案し、石倉三郎さん、中西良太さん、郡山市出身で「踊る大捜査線」などで共演した斉藤暁(さとる)さんら親しい人々と共演した。見る人をドキッとさせるシーンも盛り込まれ、見どころの一つになっている。

 第二の故郷

 上映会を開く伊達市は、結婚を機に縁ができた「第二の故郷」。「霊山の眺めが好きで、食べ物はやはり桃がおいしい! タラノメも大好き。市内でテレビドラマ『裸の大将』を撮影したことがあり、地元の知り合いのみなさんが『武彦ちゃん!』と声をかけてくれてちょっと恥ずかしかったです。最近も法事や温泉旅行などで来ていますよ」と、ご当地トークが止まらない。昨年亡くなった郡山市出身の俳優西田敏行さんとも交流が深く、「敏ちゃんとは脚本家市川森一先生の門下で長いつきあいでした。年下だけど、男っぷりも役者っぷりも兄弟子のような存在でした」としのぶ。

 来月の上映会は、幅広い世代の来場を期待している。「感性がフレッシュなときに見る映画の一本であってほしい」と小野さんが提案し、高校生以下は入場無料とした。「『何か』を感じられる映画なのでぜひ見ていただきたいです。さぶちゃん(石倉さん)との楽しいトークもありますよ(笑)」と呼びかけた。

          ◇

 「シェアの法則」 同タイトルの舞台の映画化。久万真路監督。小野さんのほか宮崎美子さん、貫地谷しほりさんらが出演。脚本は外資系会社員役で出演している岩瀬顕子さん。107分。 

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 おの・たけひこ 東京都出身。自宅近くに映画の撮影所があり、石原裕次郎に憧れて俳優を志す。俳優座養成所、文学座を経てテレビドラマや映画、舞台に出演。「踊る大捜査線」「科捜研の女」など出演作多数。

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 「シェアの法則」上映会 4月6日、伊達市ふるさと会館。午前10時と午後2時。各回上映後に小野さんと石倉三郎さんのトークショーとサイン会を開催。一般前売り1300円(当日1500円)、シニア・大学生1000円、高校生以下無料。問い合わせは同会館(電話024・583・3244)へ。

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