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夢の運転士を体験、闘病生活の励みに…阿武隈急行が実現に協力

2025/08/06 08:45

8100形の運転席でブレーキハンドルを操作する理玖ちゃん(右)と直子さん

 小児がんで右目を失い、義眼となった仙台市の柴田理玖ちゃん(5)が、「電車の運転士になる」という夢を“実現”させた。理玖ちゃんの夢をかなえようと、阿武隈急行(伊達市)とNPO法人アンドブライツ(仙台市)が5日、伊達市梁川町の同社車両基地で電車の運転体験会を開いた。

 理玖ちゃんは生後4カ月で両目の網膜に悪性腫瘍を患う小児がんを発症。左目は治療できたが、右目は摘出して義眼となった。現在は健康に生活しているものの、病院に新幹線で移動したり、電車のおもちゃで遊んだりしてきた理玖ちゃんが電車の運転士の道を歩むことは現実的に厳しくなっている。

 同法人は病気を抱える子どもたちに職業体験の場を提供し、小児がんの啓発活動を展開。運転体験は、理玖ちゃんの力強く生きる原動力にしてもらおうと、小児がんの子どもたちを支援する「そうたの部屋」やあぶきゅう応援団の協力で実現した。

 青色の制服と帽子を着用した理玖ちゃんと同法人副代表理事の母直子さん(42)は8100形の運転席に座り、指さししながら元気よく「出発進行」と発声、電車を出発させた。ハンドルでアクセルやブレーキを操作し、線路約180メートルを走行した。

 「楽しかった。(ハンドルを)引くのが固かった」と理玖ちゃん。直子さんは「理玖の目がきらきらして見える。隻眼でもなんでもやれると自信につながったと思う」と目を細めた。

 体験会には理玖ちゃんをはじめ6人が参加。阿武隈急行の冨田政則社長(63)は「“夢をかなえる阿武隈急行”として、地域と歩む鉄道会社を目指している。楽しい経験が子どもたちの闘病生活の励みになれば」と語った。

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