北海道中標津町在住の写真家前沢卓さん(78)が、アイヌ民族の儀式の写真集「祈りの記録」を出版した。地域によって異なる慰霊祭や祭りなど、アイヌ民族の伝統儀式を色鮮やかに写した。前沢さんは取材に「変わったりなくなったりする前に、記録しておかないといけないと思った。アイヌ民族や文化への理解が進み、子どもたちへの伝承につながってほしい」と話した。
前沢さんは北海道帯広市生まれ。1983年からアイヌの人々の写真を撮り始めた。2014年に道東部の暮らしの様子を収めた「アイヌ民族 命と誇り」を、17年には道内各地の家族らを写した「アイヌ民族 命の継承」を出版。カメラを手に40年以上、アイヌの人々を見つめ続けてきた。
今回の写真集では、湖や川、森などの大自然の中で、伝統衣装をまとい、火や祭具を使いながら神に祈る様子を記録した。多くの写真は18年から撮影したもので、新型コロナウイルス禍以降は儀式の取材が難しくなった。
税抜き3千円。問い合わせは藤田印刷エクセレントブックス、電話0154(22)4165。