震災後、産後うつ傾向高く

 

 今回の原発事故による放射線被ばく量とその健康影響について、今年3月に国連の委員会(UNSCEAR)から最新の報告書が発表され、放射線被ばくに伴ったがん増加の可能性は低いと報告されました。その一方、精神的な影響や生活環境が変わることによる生活習慣病などの健康への影響は甚大でした。

 妊娠や出産の影響に関しては、県民健康調査の中の一つ、妊産婦に関する調査で広く調べられています。その結果、2011(平成23)年度以降、早産率・低出生体重児率・先天奇形率はそれぞれ5%、9%、3%前後であり、本県の値は、全国平均や一般的に言われているデータと変わりませんでした。また、過去の知見から、遺伝的な影響についてもそれを危惧する状況には全くありません。

 その一方、母親のこころや身体の健康について、気分が沈んだり、憂鬱(ゆううつ)な気持ちになったりといった、うつ傾向にある方は、全国平均と比べて震災後やや多い状況にありました。うつ傾向にある方の割合は時間の経過とともに改善傾向にあります。しかし、震災後間もなく出産した母親では、長期的なフォローアップでも、うつ傾向が高いことも知られています。

 県民健康管理センターでは、そういった方などを対象に、電話での相談や、必要な際には専門家や地域の関係者と連携するといった支援を継続的に行っています。