原発の汚染水に関する問題の中で、「トリチウム」という放射性物質が登場します。トリチウムは今回の原発事故によって周辺にばらまかれてしまった人工の放射性物質であると同時に、自然界で常に作られる天然の放射性物質でもあります。
人工だから危険、天然だから安全というわけではなく、身体への影響は被ばく「量」の問題です。実はトリチウムはそこから発せられる放射線(ベータ線)のエネルギーが非常に小さく、食用品のラップでも遮ることのできるレベルです。そのためセシウムやカリウムなどほかの放射性物質と比べ、例えば1ベクレル食べたときの被ばく「量」が桁違いに小さくなる(セシウムの約1000分の1)ことが分かっています。
そして体内に入っても徐々に体外に排出され、数十日で半分になります。生体内で濃縮もされません。
結局今回の事故の後、あるとすればセシウムからの被ばくがほとんどとなります。そのためストロンチウムやプルトニウムと同じく、トリチウムは積極的に身体への影響を考える放射性物質とはならないのです。