これまで数多くの原子力事故が世界中で記録されている中、1986年のチェルノブイリ原子力発電所と福島第1原子力発電所での事故の二つがレベル7(=深刻な事故)とランク付けされています。この二つはレベルが同じに分類されてはいるものの、状況やその後の対策など異なる点が多くあります。
どちらの事故後も年間の予想される被ばく「量」に基づいて避難が決められました。しかしその値は異なりました。
チェルノブイリの事故後は、避難の基準として1年目は年間100ミリシーベルトが設定されました。100ミリシーベルト以上の地域では避難が指示されたということです。その後、2年目は30ミリシーベルト、3年~4年目は25ミリシーベルト、5年目は20ミリシーベルト、6年目以降は5ミリシーベルトと徐々に避難の基準は引き下げられました。その一方、福島原発事故後は1年目から年間20ミリシーベルトが避難の基準とされ、それが維持されています。
事故後1年目は放射性物質が最も残っていた時期でもあり、避難の基準はどれくらい放射線を浴びてしまうかに影響します。数字だけを見れば、事故後1年目は福島原発事故後の方が5倍ほど基準は厳しく、その分二つの事故後に浴びた放射線の量にも差が生じました。