私たちの周りには、さまざまな種類の自然界の放射線が存在し、そこから日常的に私たちはある程度の放射線を浴びています。
大きくは〈1〉宇宙から降り注ぐ宇宙線によるもの〈2〉食品中に含まれている放射性物質によるもの〈3〉大地から出る放射線によるもの〈4〉空気中に含まれるラドンなどの放射性物質によるもの―の四つがあります。
これまで、宇宙から降り注ぐ宇宙線によるもの、とひとくくりに話していましたが、宇宙線は何か1種類の放射線ではありません。
宇宙線が私たちの体に到達するまでには、さまざまな反応があるため、最終的にはさまざまな種類の放射線となって私たちに降り注いでいるのです。
宇宙線に伴う放射線の中で、私たちへ届く放射線の「量」として最も多いのが、ミュー粒子によるものです。ミュー粒子はここでは初めて登場しますが、特徴は物質を透過する能力が非常に高いことです。
エックス線や中性子でも透過できないぶ厚いものや、火山の内部を調査する際にも使われます。福島第1原発の内部で、溶け落ちた核燃料の場所や量を特定するため、ミュー粒子を使った実証実験が行われたこともありました。