私たちの周りには、さまざまな種類の自然界の放射線が存在し、そこから日常的に私たちはある程度の放射線を浴びています。
空気中に含まれている放射性物質として、よく知られているのがラドンです。「ラドン温泉」という言葉が示すように、温泉地に多い傾向にあります。土や岩石に含まれるウランがラジウムになり、そのラジウムから発生する気体がラドンです。主に呼吸によって肺に取り込まれ、アルファ線を出します。
このラドンは、天然の放射線について考える時に、とても重要な放射性物質です。なぜなら、私たちが天然から受ける放射線の「量」の多くの部分を、このラドンとその周辺の放射性物質が引き起こすからです。日本だと天然の放射線全体の約4分の1を、世界平均では約半分を占めます。
この空気中のラドン濃度は、場所によって大きく異なります。国全体で見ると、ヨーロッパ、特に北欧の国々で高く、平均で日本の数倍から数十倍になります。地域によっては、さらに高いところもあります。
土にどれだけ含まれているかだけではなく、家の建材や換気によっても影響を受け、例えばヨーロッパのような石造りの家で生活する地域や、換気の悪い地下室などでは、屋内ラドン濃度が高くなる傾向にあります。