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【新まち食堂物語】お食事処 天領・塙町 塙の食材でおもてなし

09/15 12:00

  • 動画付き
「この店でしか食べることができない料理を提供したい」と語る雨宮さん(右から2人目)と従業員(石井裕貴撮影)
天ざるじゅうねうどんと、フレッシュトマトとバジルのパスタ

 水戸や那須、宮城など、県外ナンバーの車が多く止まる塙町の道の駅はなわ。「道の灯台」をモチーフとした特徴的なオブジェがある建物内で、お食事処(どころ)天領は町の食材でおもてなしをする。ガラス張りの壁から久慈川や豊かな自然を眺めながら食事をすることができ、観光客からも、地元客からも人気の店だ。マネジャーの雨宮直喜さん(61)は「平日は地元のお客さんに、土、日曜日は観光のファミリー層などにゆっくりとくつろいでもらっている」と頬を緩ませる。

 「どこでも味わうことができる料理ではなく、この店でしか食べることができない料理を提供したい」と雨宮さん。町産じゅうねん(エゴマ)を麺に練り込み、こしのある歯ごたえと香ばしい風味が感じられる「天ざるじゅうねうどん」はこだわりの一品だ。ほかにも町の製麺所で作る生パスタや町産バジルを使用したほどよい酸味がくせになる「フレッシュトマトとバジルのパスタ」、町産の野菜をふんだんに使ったカレーなど、唯一無二の多彩なメニューがそろう。

 常に試作重ねる

 メニューは年に数品変えており、常に進化し続けている。道の駅は立ち寄った人たちにその土地の魅力を伝える場所。雨宮さんは「従業員のさまざまな意見を取り入れて試作を重ねながら、町の良さを感じてもらえる料理を探している」と語る。

 道の駅には町の特産品ダリアを使った「ダリアソフトクリーム」などを販売する軽食コーナーや、地元農家が育てた野菜や加工品を販売する直売所もある。その直売所から卸した町産の新鮮な野菜などを料理に使っているのも道の駅内の食堂ならではのこと。おいしい料理を提供するだけでなく、食材を通じて町のPRにも一役買っている。

 「お客さんとの会話を大切にしている」という雨宮さん。実は、前職は営業マンだったといい、今は店でその経験を生かしている。「お客さんに町の観光名所のダリア園やハス園などを紹介して仲良くなることも多い。自分でも町内を案内できるように日々情報を仕入れている」と客への売り込みは欠かさない。

 歴史感じる店名

 「『天領』の名は、この辺りが1600年ごろに幕府直接の支配地『天領』となったことからきているんだよ」と、雨宮さんは店名の由来を教えてくれた。「多くの人が塙町に足を運んでくれるような逸品を作りたい」と、歴史ある町の魅力を料理で広めるため、ひそかな夢を抱いている。「例えば久慈川で取れた生きのいいアユを塩焼きにするのではなく、新鮮なままさばいた刺し身にする。町産の食材で普通では考えられないような、ここでしか食べられないメニューを考えたい」と思いは膨らむばかりだ。

 かつて交通の要所として多くの人が行き来していた塙町。道路交通の安全と地域の交流の拠点として町内外の人が集まる「天領の里」で、これからも町の発展のために、観光や農業などの情報発信基地としての役割を果たす食堂であり続ける。(伊藤大樹)

お店データ

■住所 塙町塙字桜木町388の1

■電話 0247・44・0123

■営業時間 午前10時30分~午後4時45分

■定休日 1月1、2日

■主なメニュー 

▽天ざるじゅうねうどん=1300円

▽生パスタセット=1300円

▽エビフライ定食=1450円

▽カツカレー=1450円

 久慈川と季節の花

 道の駅の裏手には季節の花々が植えられ、町を流れる久慈川と一緒に楽しむことができる。花は道の駅の職員が管理しており、現在はサルビアが咲いている。今後はチューリップなどが植えられる予定。駅内では旬の野菜や総菜のほか、メダカなども販売されている。

 NHKラジオ第1「ふくどん!」で毎週木曜に連携企画

 新まち食堂物語は福島民友新聞社とNHK福島放送局の連携企画です。NHKラジオ第1で毎週木曜日に放送される『ふくどん!』(休止の場合あり)のコーナー「どんどんめし」で紹介される予定です。

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