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【9月22日付編集日記】命名

09/22 08:00

 大安場古墳は郡山市の盆地東端の尾根を生かして造営された東北最大の前方後方墳である。一帯は史跡公園となり展示室では棺の主が紹介されている。名前は残っていない。市街地を一望する古墳の規模から相当な有力者だったとされている

 ▼この史跡公園に愛称をつけて―と市が募集している。ネーミングライツ(命名権)。年90万円以上で5年以上の契約が整えば年間9千万円かかる維持管理に充てられる。市は不調だった昨年度に続いて再挑戦した

 ▼競技場や歩道橋などに民間企業が提案、出費して愛称をつける命名権は、財政が厳しい県や市町村に広まった。一方、史跡や住民のシンボルに企業名がかぶさることには否定的意見があり、除外する自治体もある

 ▼神奈川県鎌倉市が著名な海水浴場の愛称を募ると市民から批判が上がった。「鳩サブレー」で有名な地元企業は10年間の命名権を取得、正式名称をあえて変えずに市民の郷土愛に応えたと神奈川新聞は報じている

 ▼大安場では地名と「史跡」を必ず盛り込むほか、特定業種の除外など条件を付した。それ以上に国指定史跡に似合わない名では市民の誇りが傷つく。締め切りは27日。応募者も選定者もセンスが問われている。

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