8代目桂文楽は、国立劇場での口演を途中で打ち切り、観客にこう告げて高座を降りた。「申し訳ありません。もう一度勉強し直してまいります」。ある登場人物の名前が出てこなくて絶句してしまったためだ。この後、高座に上がることはなかった ▼文楽はこのとき78歳。うまく繕って最後まで務めるのが名人芸では、という意地悪な見方もあろう。ここは、常に完璧な落語を目指した文楽の、仕事に対する意識の高さを物語る逸話...
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