楢葉町の木戸川上流にある大滝神社のみこしが海岸まで下って潮水を浴びる行事「お浜下り」。今年の日程は10~14日で、初日は「水ごり」、2日目はご神体を木戸八幡神社に移した。主要な神事「神輿渡御」は4日目の13日、ご神体を乗せたみこしを担いで練り歩く。
古くから伝わる五穀豊穣(ほうじょう)祈願の祭り。潮水を浴びて神の力を高め、田を守る神となって山から里に下るとされる。毎年4月第2日曜日を中心に行われ、伝統的な神事が今も続くため県の重要無形民俗文化財に指定された。原発事故や感染症対策で一時は規模を縮小したが、現在は元に戻った。
10日は大滝神社のおこもり所に、地域の若手でつくる「小塙義団」の団員と木戸八幡神社の宇佐神正道宮司(69)らが集合。夜中に近くの木戸川で身体を清める「水ごり」を行い、そのままおこもり所に宿泊した。小塙義団の総理(代表)の渡辺文生さん(48)は「木戸地区の伝統を守り継承していく」と意気込んだ。
11日は朝から大滝神社のご神体を担いで木戸八幡神社に歩いて向かった。途中、住民がご神体を迎え、一行が休憩する「お旅所」が4カ所ある。「川原のお旅所」では住民が順番に「宿」と呼ばれる接待役を務める。今年の担当の吉田耕さん(78)は「ご神体を地域に招く重要な役目。無事に果たせた」と笑顔を見せた。
12日は木戸八幡神社で神輿渡御の準備が進められた。13日は午前9時半に関係者や地域住民らが行列となって木戸八幡神社を出発。午前11時ごろに沿岸部の山田浜で「お塩ごり」を行う。宇佐神宮司は「昔ながらの伝統を守ることが地域の誇りになっている」と話した。最終日の14日はご神体を大滝神社に戻す。