お土産屋で古本屋で喫茶店―。福島市・飯坂温泉の湯沢通りに、ユニークなスタイルのおみやげ喫茶「土論堂(どろんどう)」が開店した。明智茂館長(43)は湯沢通りのにぎわい創出に貢献することを目指しており「誰もが入りやすく、とにかく楽しい店にしたい」と話している。
土論堂が開店した湯沢通りは、飯坂線飯坂温泉駅から観光名所でもある鯖湖湯(さばこゆ)や旧堀切邸につながる道。国登録有形文化財「なかむらや旅館」などの老舗旅館や木製の分湯槽、鯖湖神社など、飯坂温泉の中でも懐かしい温泉情緒が感じられ、地図を手に町歩きを楽しむ観光客も目立つ。
明智館長は、学生時代からの仲という重永優店長(41)と開店場所を探す中で、湯沢通りに面するこの物件と出合った。元は作業場として使われていた場所で、明智館長は「一番面白そう。9メートルある間口の広さが魅力だった」と振り返る。湯沢通りから大きなガラス越しに中が見えるため、16日の開店後も「何ができたのか」とのぞき込む人が多いという。
店内はむき出しの天井や落ち着きを感じさせる家具がくつろげる空間を演出し、明智館長が集めた古本やレコード、CD、DVD、フィギュアなどの雑貨類がずらりと並ぶ。本はブックカフェスタイルで自由に読めるし、購入もできる。雑貨類も美術館の展示品のように整然と並ぶが、底に値札が付いており、「飯坂土産」としての購入も可能だ。店名は明智館長の好きな漫画「ドロンちび丸」にちなむ。
夜も営業しており、6月開催の「ほろ酔いウォーク」にも参加予定。20畳ある2階の活用も視野に入れており、明智館長は「駅と鯖湖湯や旧堀切邸を結ぶ中継地点として、気軽に立ち寄れる場所にしたい」と今後の目標を話している。