南相馬市博物館は同館エントランスホールで、太平洋戦争中に現在の同市原町区矢川原に墜落した特攻機「九九式双発軽爆撃機」の破片を展示している。11月3日まで。
特攻機は岩手県釜石への艦砲射撃があった1945年8月9日、沖合の米軍艦隊攻撃のため、後藤野飛行場(岩手県北上市)を出発した。艦隊を発見できず、操縦していた渡辺秀男少尉=当時(22)=はかつて訓練を積んだ原町への帰還を試みたが墜落し、亡くなった。
墜落原因を巡っては、操縦者の技量不足や、飛行場を見つけられなかったなどという見方がある中、岩手県花巻市博物館主任専門員の布台一郎さん(62)が今年、渡辺機はため池への不時着水を試みたのではないかという新たな可能性を提示していた。
破片は8月まで、花巻市博物館での企画展で展示されていたが、所蔵する南相馬市博物館にも反響があり、展示を決めた。同館での展示は10年ぶり。南相馬市博物館学芸員の森晃洋さん(47)は「戦争資料の実物を見る機会は少ない。実物の空気感や雰囲気を感じてもらえれば」と語る。
エントランスホールの見学は無料。入館時間は午前9時~午後4時。15日と11月3日は本館の無料観覧日。問い合わせは同館(電話0244・23・6421)へ。