東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、福島県大熊町に初めてとなるスーパーを出店するマルトは、来年10月2日に開店する。ドラッグストアを展開する「くすりのマルト」や100円ショップも店内に併設する。当初は2027年度中の開店予定だったが、店が入る商業施設を整備する町や設計、施工業者がそれぞれ工夫して工期を短縮し、マルト側も社内体制を調整したことで、早期開店を実現させた。
整備工事の安全祈願祭が25日、現地で行われ、吉田淳町長とマルトを運営するマルトグループホールディングス(いわき市)の安島浩社長が店舗概要を明らかにした。商業施設は町が整備し、マルトが運営する公設民営型で、下野上字原地区に建設される。
店名は「マルト大熊店」でスーパーや薬売り場、100円ショップを合わせた売り場面積は2035平方メートル。店内にはイートインスペースも設ける。マルトは近隣事業者らへの配達事業も行う方針だ。
商業施設の敷地内に160台分、敷地外に65台分の駐車場を整備する。営業時間は午前9時~午後9時で年中無休の予定。建物の建築工事費は21億3400万円。庄司建設工業(南相馬市)が施工する。
安全祈願祭後、報道陣の取材に応じた吉田町長は住民の帰還意向調査で病院の再開と買い物環境の整備が要望のトップに挙がっていたとし「今まで町外に買い物に行っていた人の利便性が向上する」と期待した。
安島社長は「鮮度のいい刺し身やすし、総菜、おにぎりなど、お客さんが満足するものをしっかりと提供していく。マルトができて良かったと思ってもらいたい」と決意を語った。