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【9月27日付社説】若年層と選挙/投票率上昇を次につなげよ

2025/09/27 08:05

 今夏の参院選福島選挙区の年代別投票率が、全年代で前回2022年を上回った。特に30代以下の伸びが大きく、30代は前回比9・30ポイント、20代は10・31ポイント、10代も6・88ポイント上昇した。ただ、年代が低くなるにつれ投票率が下がる傾向は変わっていない。30代が52・31%でかろうじて5割を超えているにとどまる。20代、10代は4割前後と低い状態が続いている。

 本県に限った傾向ではないものの、少子高齢化により、30代以下は上の世代に比べて有権者数が少ない。投票率が低ければ、より若年層の民意が国政に反映されにくくなることや、政党などの掲げる政策が投票率の高い高齢者層などから好まれそうなものに偏ることにもつながりかねない。

 県選管は、物価高対策や減税など有権者に身近な問題が争点となったことに加えて、SNS選挙の普及が若い世代の投票率に影響したと分析している。ただ、最近の国政選挙でも身近な経済対策などが繰り返し争点となっていたが、投票率は伸びていなかった。

 これまでの低投票率は争点が身近であるかどうかではなく、政党や候補者が有権者への訴求力を欠いていたとみるのが妥当だ。それがSNSの浸透と発信力の強さでやや改善されたというのが実態だろう。これまで政治に無関心だった層がコメをはじめとする物価の高騰などに強い危機感を抱いたことが、投票率を押し上げたとみることもできる。

 各党などは、若年層の投票率が上昇した背景を分析し、政見を知ってもらった上で審判を仰げるよう知恵を絞る必要がある。

 今回の参院選で議席を伸ばしたのは、国民民主党、参政党といったSNSの活用に積極的な党だった。選挙期間中のSNSには、これらの党の主張などが党や候補者が関与していない発信を含め、多く見られた。

 全国紙と地方紙計9紙が実施した読者アンケートで参院選で参考にした情報源を聞いたところ、新聞記事が7割超で最も高かったものの、SNSを含むインターネットを挙げる人も5割近くに上った。各政党がSNSでの発信を強化するとみられ、選挙に対する影響が今後さらに大きくなるのは間違いない。

 SNSは極端な言論や誤情報などマイナス面が注目されることが多いが、若年層が政治に関心を持ち、投票所に足を運ぶきっかけとなったとすれば歓迎すべきことだ。政党などは、若者が政治に関心を持ち続けられるようにしていかなければならない。

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