田村隆一の詩「帰途」は「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という独白から始まる。言葉がなければ、誰かの涙を見ても自分は「ただそれを眺めて立ち去るだろう」と ▼「あなたが美しい言葉に復讐(ふくしゅう)されても/そいつはぼくとは無関係だ/きみが静かな意味に血を流したところで/そいつも無関係だ」。だがそんな言葉のない世界にいくら憧れても、人はそれを捨てられない。「言葉なんか」と繰り返す詩は逆説的に、言...
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