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郡山爆発、初の賠償命令 地裁郡山支部判決、運営会社など4社に

2025/10/01 08:10

 2020年7月に郡山市の飲食店「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」が爆発し28人が死傷した事故で、イーデザイン損害保険(東京都)が店舗を運営する高島屋商店(いわき市)など6社に損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しが30日、地裁郡山支部であった。足立拓人裁判長は高島屋商店など4社に対し、連帯して請求通り計約138万円を支払うように命じた。爆発事故を巡る訴訟の判決は初。責任の所在が司法判断によって初めて示された。

 事故を巡っては、店舗の運営会社やガス管理者、ガス点検業者などの間で責任の所在が明確になっておらず、裁判でも争点となっていた。同支部では他に18件の訴訟が係争中で、今後の司法判断も注目される。

 イーデザイン損害保険は、事故で車に被害を受けた被保険者の代位請求として提訴した。被告は店舗を運営する高島屋商店、改修工事を請け負っていた小西造型(仙台市)、ガス管の管理者でガス供給者の伊東石油(郡山市)、ガス管点検業者の郡山エルピーガス保安管理センター(同)、店をチェーン展開するレインズインターナショナル(横浜市)、建物所有者の芙蓉総合リース(東京都)。このうち、支払いを命じられたのは高島屋商店のほか、小西造型、伊東石油、郡山エルピーガス保安管理センター。

 判決理由で足立裁判長は、高島屋商店については、腐食とさびを認識せず修理の依頼など適切な措置を取らなかったとして、占有者に求められる必要な注意を尽くしたとは言えないとした。伊東石油には、液石法で定めるLPガス販売業者として安全管理する責務に対して適切に管理していなかったなどとした。

 小西造型については改修工事で引火の危険を看過した現場管理者の過失は否定できないとして、現場管理者の使用者として責任を負うとした。郡山エルピーガス保安管理センターについては、定期点検調査でガス管の著しい腐食とさびを見落としていたことが事故の発生につながったとした。

 一方、レインズインターナショナルはフランチャイズ契約の規約にガス設備の設置や管理の具体的な定めはないとし「ガス管理について指導すべき義務を負っていたとは認められない」とした。芙蓉総合リースには、ガス管の所有権が同社に帰属したとは認められないとして責任を否定した。

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