公明党が自民党との連立離脱を決めたことを受け、県民からは自民の「政治とカネ」の問題を理由に挙げた公明の判断に理解を示す意見が出た一方、政権の枠組みが崩れたことで今後の政治の行方を不安視する声も聞かれた。
会津若松市のパート従業員の女性(55)は「公明の離脱は仕方がないのではないか」と推し量る。自民の派閥裏金事件に関係した萩生田光一氏を幹事長代行に起用した高市早苗総裁の判断を「不思議だ。政治資金の流れを透明化することについて、高市新総裁の関心が薄いのでは」と疑問視した。
いわき市で軽食喫茶を営む男性(72)は「本来の自民らしさ、公明らしさを出せるようになるのであれば(連立離脱は)大賛成だ」と受け止める。政局がより混沌(こんとん)としてきたが、男性は野党の現状から今後の臨時国会で高市氏の首相選出を予想しているという。「より建設的な議論ができ、日本が良い意味で変わる国会になってくれればいい」と話した。
「端的に言えば、首相指名選挙でどうしても『高市早苗』と書きたくなかったということではないか」。二本松市の会社員男性(45)は、公明の判断の背景を読み取った。「政権の枠組みが今後どうなるのか分からないが、政治が余計に不安定になって、大事なことを何も決められない、進まない状態が続くことは『政治とカネ』の問題以上に深刻だと思う」と案じた。
郡山市の医療事務の女性(65)も「これまで自公連立政権で長く安定していただけに、私たちの暮らしにどんな影響が出てくるのかという不安感がある。トランプ米大統領の来日にも影響が出てしまうのだろうか」と話した。
元復興副大臣・浜田さん「復興は与野党一丸で」
復興副大臣を2度務め、現在は双葉町で暮らす公明党の元参院議員浜田昌良さん(68)=党県本部顧問=は「26年間、共にやってきた中で離脱は残念。ただ、自民党の『政治とカネ』の問題に足を引っ張られ党存亡の危機に近い状況で、これ以上、自民の不誠実な対応は受け入れられるものではない」と思いを口にした。
2017年の第3次安倍第3次改造内閣から2度目の復興副大臣を務めた時には、自民党で当時環境副大臣の伊藤忠彦復興相、当時経済産業副大臣の武藤容治経産相と復興に向けて連携を密にするため「3人で毎月、一緒に朝飯を食べて政策について話し合った」と懐かしむ。
浜田さんは「福島の復興に向けては、連立どうこうではなく、与野党一丸となって進めてもらいたい」と現職議員に求めた。