全国の小中学生、高校生、大学生がいわき市などに集まり組み立てた人工衛星「IWATO」が10日、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」から宇宙に放出された。今後本格的な運用に入る。放出の模様は宇宙航空研究開発機構(JAXA)のユーチューブ公式チャンネルでライブ配信され、開発に関わった学生らが人工衛星の新たな旅立ちを見守り、成功を喜んだ。
「言葉では表せないくらい感動」
いわき市の旧永井中校舎にある「e―kagakuいわき宇宙センター」の管制室で放出の様子を見守ったプロジェクトマネジャーの若尾大輔さん(24)らメンバー3人。放出成功が分かると安堵(あんど)の表情を見せた。プロジェクト開始当時から関わる吉野凜さん(24)は「言葉では表せないくらい感動している」と語った。
11日からは管制室でIWATOからの電波を受信する作業を行う。
若尾さんは「まだ始まりに過ぎない。うまくいくか心配だが、頑張りたい」、坂田悠真さん(19)は「プロジェクトに参加し始めた時の自分に良い姿を見せられるように取り組みたい」と意気込んだ。
ISSの油井飛行士が祝福
カウントダウンの後、「きぼう」の設備からIWATOと千葉工業大の人工衛星「BOTAN」が一緒に宇宙空間に放出されると、関係者から拍手が湧き起こった。放出完了後、ISSの油井亀美也飛行士が成功を祝福するコメントを寄せた。
IWATOの放出プロジェクトは、科学教育を手がけるe―kagaku(イー・カガク)国際科学教育協会が進めてきた。IWATOは10センチ四方の大きさ。世界で初めての超小型衛星用のレーザー反射板を搭載し、精密な距離測定が可能。同協会は今後、2号機の開発を進める。協会が8月にいわき市で行った科学合宿に参加した好間一小6年の児童(12)は「イー・カガクの先輩たちが作った衛星が無事宇宙に行ってうれしい。たくさん勉強して、自分も2号機の開発に関わりたい」と意欲を語った。