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mRNA薬研究で福島医大と明治ファルマ協力

2025/11/19 10:10

 福島医大と福島医大トランスレーショナルリサーチ機構(TR財団)、明治グループの医薬品事業会社「Meiji Seikaファルマ」(東京都)は、遺伝子物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」を使った医薬品の研究開発や製造で協力する。

 医大の研究データと、明治製菓ファルマの持つmRNA医薬品の開発技術を活用し、感染症のほか、免疫疾患やがんの治療薬創出に取り組む。

 3者が18日までに、共同研究に向けた包括的業務提携契約を締結した。

 mRNAは新型コロナウイルスワクチンで実用化され、注目を集めた。医大はがん細胞のほか、DNAやタンパク質の変化をまとめたデータなどの膨大な資料「福島コレクション」を有する。

 研究では福島コレクションの中からウイルスや細菌の働きを抑える有用な「抗体」を選び出し、医薬品の開発につなげる。

 mRNA医薬品もこれまでの抗体薬も、抗体を基にした医薬品。抗体そのものを患者に投与する抗体薬は体内で抗体が持続しなかったり、体内に入る前に安定性を保つのが難しかったりするなどの課題があった。

 一方、mRNA医薬品は患者に投与すると有用な抗体が体内でつくられる利点があり、開発コストの低減が期待される。明治製菓ファルマの黒沢亨顧問は「3者の連携により、福島からmRNA医薬品を世界に提供したい」と期待を示した。

          ◇

 mRNA メッセンジャーRNAの略で、細胞の核内にあるDNAからタンパク質をつくるための設計図となる遺伝物質。免疫細胞がそのタンパク質を敵と判断してウイルスを攻撃する抗体をつくる。国内で承認されている新型コロナウイルスのワクチンでも活用されている。

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