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【11月21日付社説】県の除雪新方針/集中対応で通行の安全守れ

2025/11/21 08:05

 会津地方を中心とした2月の大雪では、落雪や転倒などによる人的被害に加え、大きな交通障害が発生した。除雪体制の再構築により、冬期間の安全な通行環境を維持していくことが必要だ。

 2月の大雪では想定を上回る積雪があり、各地で通行止めなどの交通の混乱が発生した。このため、県は一般除雪を行う県管理道路の380路線、延長約5000キロの中から、優先して除排雪を実施する路線を新たに設定する。対象は、会津若松の市街地やその周辺道路などを想定している。

 県によると、これまでは積雪ごとに除雪する路線などを選別していた。優先路線では、気象状況に応じ事前に重機などを準備しておくことで円滑な始動につなげる。除雪の遅れは生活に影響が出るだけではなく、緊急車両の立ち往生などは住民の命に関わる。県は、気象情報を的確に把握し、迅速に除雪実施の指示を出す体制を整えることが重要だ。

 会津地方の大雪では、除雪した雪を運び込む雪捨て場の不足も混乱を助長してきた。これまでは河川敷の空き地などを雪捨て場にしていたが、今季は県、市町村ともに公有地などを中心に新たな雪捨て場の候補地を確保した。除雪で積み上がった雪を滞りなく運び出すことができるよう、目詰まりがない運用を心がけてほしい。

 生活に支障が出るような大雪が発生した場合には、除雪に使う重機の不足も交通障害の原因となる。このため県は、該当する市町村に対し、近隣地区で県が所有するロータリー除雪車などを貸し出す制度を整備した。近隣で確保できない場合には、より広域的な重機の移動も視野に入れる。また、県と市町村が、それぞれの除雪車がどこで活動しているかをリアルタイムで情報共有することができるシステムも導入する。

 県によれば、これらの対策を通じて、市町村の除雪能力を超えた降雪が発生した際に、地区内の遊休重機の集中的な投入や、市町村が手が回らない地区への県の除雪車による応援などが効率的に行われることになるという。県と市町村には、互いの連携を深め、制度の積極的な運用を進めていくことを求めたい。

 国や東日本高速道路(ネクスコ東日本)が管理する主要国道や高速道路が雪で通行止めになった場合は、交通量が多いだけに企業活動などへの影響が大きくなることが懸念される。県と市町村は、迂回(うかい)路となる道路を迅速に除雪することができるよう、十分な対策を講じておくことが欠かせない。

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