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林野火災の警戒強化 消防「注意報」26年1~5月、積極発令へ

2025/12/03 09:30

大規模林野火災対応訓練で放水訓練を行う消防署員=9月、郡山市田村町

 岩手県大船渡市で2月に発生した大規模火災を受け、来年1月から「林野火災注意報」の運用が始まる。空気の乾燥する冬から春にかけて特に注意が求められる山林火災。県内各消防本部では対応を急ぐとともに、制度を予防につなげるために周知方法などを模索している。

 県によると、従来からあった林野火災警報は罰則規定があることなどから発令のハードルが高く、運用方法も消防本部によって大きく異なっていた。警報の前段階となる注意報の導入で各消防本部が積極的に発令できるようになり、住民に対して林野火災への注意喚起ができるようになる。

 ともに原則、1~5月の期間に発令される。注意報は乾燥や強風など林野火災の発生や拡大が予想される際、各消防本部の判断で発令。ホームページなどで発令を伝える。県消防保安課は「注意喚起がしやすくなる」と期待を寄せる。

 郡山地方広域消防組合では10月の組合議会で関連条例を改正。1月1日の運用開始を前に、県内で先駆けて林野火災注意報・警報の内容や発令条件をホームページで示している。他の県内消防本部ではおおむね12月の議会で対応する見通しとなっている。

 降雨の有無など地域によって運用条件が異なるため、同組合では発令のエリア区分を雪の量や気象条件に合わせて「郡山市湖南町」「それ以外の郡山市」「田村市」など五つに分けた。課題は制度の周知方法といい、渡辺裕火災調査係長は「たき火や火入れを行う農業従事者の多くは高齢者。SNS(交流サイト)やホームページだけでは届かない可能性がある」といい、地域での集会での告知や防災無線、ラジオ、テレビなど、周知方法を含めてさまざまな広報を検討している。

 県内、被害抑止へ訓練

 消防庁は大規模森林火災防止へ向けて、全国に予防や対策の強化も求めている。郡山地方消防本部では9月に県防災航空隊と合同で大規模林野火災対応訓練を初めて実施。山麓から火元までホースを運搬、連結し放水したほか、無線がつながりにくい際に使用する機器の取り扱い、防災ヘリでの散水などを確認した。

 福島市消防本部では3月の林野火災訓練で防災ヘリのほか、熱源を感知できるドローンを活用。ただ、特殊装備をすぐに増やすのは難しいという。丹治秀樹警防課主任主査は「今の装備を活用して被害を抑える訓練は欠かせない」とする。

 また、各消防本部には、林野火災発生時に建物への飛び火による延焼を防ぐための行動をまとめた「警戒要領」を年内までに策定、見直すよう要請している。ほとんどの消防本部で策定済みか策定中となっており、南会津は来年2月の議会提出、福島市は来年度以降の見直しを予定している。

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