貫通しない「アルファ線」

 

 放射性物質は安定になるため、外に不要な「陽子・中性子・電子」やエネルギーを放射線として吐き出します。ラドンやラジウムが出す、陽子と中性子2個ずつの塊によるものを「アルファ線」、カリウムやセシウムから出る電子1個やエネルギーによるものを「ベータ線」「ガンマ線」と呼びました。

 アルファ線が合計4個の塊に対して、ベータ線が電子1個だということもあり、アルファ粒子(りゅうし)はベータ粒子に比べ、重くてサイズも大きいことが知られています。重くて大きいので、アルファ粒子は空気中では数センチしか飛べず、紙一枚すら貫通することができません。

 そのため、空気中のラドンからの被ばくを考える際、呼吸でラドンを吸っておこる「内部被ばく」は考える必要がありますが、「外部被ばく」は考える必要がありません。ラドンが出すアルファ線は人間の服や皮膚で完全に遮られ、体内まで到達することができないのです。