残った細胞身体機能補う

 

 脱毛や出血・下痢・やけど(紅斑)といった症状は、大量に被ばくすると「必ず(確定的に)」生じる一方、被ばく量が一定以下であれば「誰にも」生じることはありません。「確定的影響」と呼ばれました。

 この「確定的影響」は、放射線のために細胞が死んでしまうことによって起こります。ただ、私たちの身体の細胞は日々、新陳代謝とともに入れ替わります。私たちの身体は約60兆個の細胞からできていますが、毎日、その数%弱が入れ替わります。例えば仮に1%としても、毎日6千億個が死ぬことになるのです。

 だからといって、そのために私たちが何か身体の異常を感じるわけではありません。生き残っている多くの細胞がその機能を十分に補えるからです。放射線を大量に浴び、死亡する細胞が多く、生き残った細胞が機能を補えなくなるときに「確定的影響」が生じます。

 現状の日常生活での放射線で、鼻血など「確定的影響」があり得ないのは、多くの細胞が死亡するようなレベルに全くないからです。