確定的影響に「しきい値」

 

 脱毛や出血・下痢・やけどといった症状は、大量に被ばくすると誰であれ「必ず」生じる一方、被ばく量が一定以下であれば「誰にも」生じず、「確定的影響」と呼ばれました。

 放射線被ばくによる身体への影響は、その量が問題です。被ばくによって(出血などの)症状が生じるか生じないかの「境目」となる被ばく量のことを、「しきい値」と呼びます。一度に少なくとも「しきい値」以上に被ばくしなければ、その症状は生じないという意味です。そしてその「しきい値」は、症状によりますが、だいたい数百~数千ミリシーベルト程度。われわれの日常生活で周辺環境から100年間で浴びる量以上です。

 その一方で、放射線によるがんの発生は、放射線から身を守るため、「しきい値」がないと考えられています。受けた放射線量が増えるに従って、がんの発生する確率が高くなるという意味です。前記の「確定的影響」に対して、「確率的影響」と呼ばれます。