「海表層の魚」汚染なくなる

 

 水産物の汚染は原発事故後、全体として低減していますが、農作物と同様、水産物の中でも放射性物質による汚染が残りやすいものと、残りにくいものが分かれています。

 その中で、シラスやコウナゴといった小魚は、ほとんど汚染が見つからなくなった魚類の一つです。

 シラスやコウナゴは、海の表層を泳ぐことが多く、そこで植物性プランクトンを食べて育ちます。原発事故直後、海洋に放射性物質が流出し、海水にのって周辺に広がったため、最初は表層を泳ぐこれらの魚が強く汚染されました。しかし、5年以上経過の中で放射性物質が海底に移動したこと、そしてシラスやコウナゴの世代交代が早いことから、これら表層の魚の汚染は急激に見られなくなりました。

 原発事故直後は、シラスやコウナゴの基準値を超える汚染を指摘する報道が相次ぎ、その記憶が強い方もおられるかもしれません。しかし、事故当初は危ない魚類の筆頭格のような扱いをされていたこれらの魚は、現在となっては福島県を含む全ての都道府県で、食品の基準値を下回っていることが分かっています。