特徴異なる二つの報告書

 

 原発事故による放射線の被ばく量とその健康影響について、いくつかの海外の国際機関からもその評価報告書が発表されています。

 中でも代表的なのが、世界保健機関(WHO)と国連(国連科学委員会UNSCEAR)です。どちらも実際に測定されたり、行政や研究所から発表されたりしたデータに基づき、専門チームが地域ごとの放射線被ばく量を推定・計算しています。

 この代表的な二つの報告書は特徴・役割が異なります。WHOからのものは、比較的早期(2012年)に発表され、大まかにそして保守的に(過大評価になるよう)被ばく量を見積もっていました。

 対して国連からは、WHOより遅れて13年に発表され、その分、県内の実態にもっと沿うよう、できるだけ精緻に多くのデータを用いて、計算されています。そして国連は、その後の世界中からの発表を基に、一定期間ごとに振り返りを行い、これまでの評価がおかしくなかったかも発表しています。

 先日は国連による2回目の振り返り結果が発表され、「福島の事故による被ばくを原因とするがん患者の増加は考えられない」という結果に変わりはないことが報告されています。