リスク知る「ものさし」を

 

 良い生活習慣は健康維持にとって非常に大事です。喫煙・飲酒による身体への影響は、場合によっては単独でも数百ミリシーベルトの被ばくに匹敵することもあります。加えて、体重・血圧・コレステロール・血糖値など、生活習慣病の管理も重要です。

 これらの生活習慣病は、震災後残念ながら多くの場所で悪化しました。例えば相馬地方の健診結果から糖尿病を指摘される高齢者は、震災後5年で数%ほど増えたことが分かっています。血圧の薬を飲んでおられる方も増えました。

 糖尿病は治療せずにいると、心臓や脳の血管の病気に加え、がんへの影響も大きいです。このような健診結果からは、今後も継続的に対応がなされないと、結果的に放射線に比べ生活習慣病の健康影響の方がかなり大きくなってしまうことは想像に難くありません。ただ、もちろん生活習慣病を管理することは可能です。

 さまざまな健康に影響を及ぼすものの中に放射線や、生活習慣病も存在します。リスクの大きさ(影響の度合い)を知る大ざっぱな「ものさし」を持ち、どちら側にも偏りすぎないことが重要です。