「ポロニウム」 タバコにも

 

 われわれは元々日常生活において周りのさまざまな放射性物質から年間で約2・1ミリシーベルトほどの放射線を浴びています。そしてその3分の1は、主に魚介類に含まれる天然の放射性物質(ポロニウムと言います)を摂取することによって起きています。

 実はこの「ポロニウム」はタバコの葉にも含まれています。使われる土壌や肥料から吸収されるのに加え、タバコの葉の表面に粘着性のある小さな毛があり、そこに空気中の放射性物質が集まって結果としてタバコの葉にたまってしまうのです。

 もちろん、放射性物質が含まれているから問題ということではなく、その「量」が問題です。農作物にポロニウムが含まれるのもタバコに限ったことではありません。喫煙すると肺の被ばくが起こりますが、毎日20本ずつ1年間の喫煙でポロニウムにより受ける被ばくは、胸のレントゲンを1枚撮影するのと同じかそれより少し多いくらいのレベルです。

 喫煙が肺がんの原因となるのはよく知られた事実ですが、有害なのはタバコに含まれる化学物質だけではありません。