放射線はがんの治療にも

 

 私たちの身体の中にあるたくさんの細胞は、お互いに連絡を取り合いながらそれぞれの場所で役目を持って活動しています。そのような細胞の一部が、「さまざまな原因」で制御できなくなり、勝手に増殖し、正常な臓器や生命維持に必要な機能を奪ってしまう。このような状態を悪性腫瘍(いわゆる「がん」)と呼んでいます。

 高齢化も相まって世界中で「がん」患者さんの数は年々増えています。1年間に世界中で「がん」を新たに発症する患者さんの数は、2012年の約1400万人に対して、2030年には約2200万人になるとWHO(世界保健機関)は予想しています。日本国内でも「がん」はこの30年以上、全死因の第1位を占めています。

 現在の「がん」の治療は、主に手術、抗がん剤などによる化学療法、放射線治療の三つからなります。乳がんや食道がんなど、「がん」の種類やその進行度によって選択される場面は異なりますが、放射線を当てることによって「がん」を治療するという方法は、手術や抗がん剤に勝るとも劣らない選択肢の一つです。

 放射線は「がん」を引き起こす「さまざまな原因」の一つではありますが、その治療のための有効な手段でもあるのです。