放射線治療、がん以外にも

 

 現在の標準的な「がん」治療は、手術・抗がん剤(化学療法)・放射線治療の三つから成り立ちます。放射線を当てることによって「がん」を治療するという方法は、手術や抗がん剤と勝るとも劣らない選択肢の一つです。

 放射線の治療はがんだけではなく、良性の病気にも使われることがあります。

 例えば、頭にかぶる大きなヘルメットに小さな放射性物質を100個以上並べ、そこから出るガンマ線のビームをヘルメットでうまく一点に集中させて、脳の中の病変を治療するガンマナイフ治療があります。実際にナイフではないのですが、開頭手術をせずに病巣を治療できることからそう呼ばれます。虫眼鏡で太陽の光を集めて、焦点の部分で紙を燃やすのと同じような仕組みです。

 もちろん、この治療が選択できるか、この方法がベストかは病気の種類や状態によって変わります。ただ、この放射線を使った治療により、悪性の脳の腫瘍だけではなく、良性のものや、脳の血管の形の異常など、脳の奥深くや大事な機能を持つ部分にある病変に対して、患者さんに大きな負担を掛けずに治療を行うことが可能になっています。