作業員の健康調査に課題

 

 自然の放射線が多い鉱山や炭鉱での労働者、航空機の乗務員、原発で作業される方、医師や看護師・放射線技師など、放射線に仕事上で接する場合、それを職業被ばくといいます。

 今回の原発事故で、直後に原発内で作業に当たられた方の被ばくに関しても、緊急事態ではもちろんあるものの、職業被ばくの一つと考えられます。

 2013年に出版された国連からの報告書によると、事故後の19カ月間に福島第1原発にて作業されていた方の平均の被ばく量は、約10ミリシーベルトでした。その一方、100ミリシーベルトを超える被ばくを受けたとされる方もおられ、全体の0.7%である173人、最大で679ミリシーベルトの放射線を受けた方もおられるとされます。この数字は一般の住民の方々と比べて、大きな差があるのがおわかりになると思います。報告書では、この被ばく量は事故初期の混乱の中でのデータのため、不確かさが残っており、さらなる調査が必要であると言及されています。

 このような作業員の方々には、定期的な健康診断が実施されています。その一方で、健診の対象となる方の範囲の問題や、長期的なフォローや未受診の問題など、いくつかの課題も抱えています。