職業被ばくは上限がある

 

 自然の放射線が多い鉱山や炭鉱での労働者、航空機の乗務員、原発で作業される方、医師や看護師・放射線技師など、放射線に仕事上で接する場合は、それを職業被ばくといって、これ以上放射線を浴びてはいけないという「限度」が法律に定められています。わが国の現在の決まりは、1年間に50ミリシーベルト以下、かつ5年間に100ミリシーベルト以下です。

 この基準の生い立ちは今から100年ほど前に、海外で医療従事者へ出された勧告までさかのぼります。放射線による皮膚や内臓、血液のダメージを避けるために、長めの休暇を取ることや、就業時間の短縮をすること、エックス線に直接身体をさらさないこと、可能な限り距離をおくことなどが言われました。

 ただ、当初は限度とする放射線の量は、現在に比べて大きかったことも知られています。この1934年の勧告では、年間およそ500ミリシーベルトで、現在のわが国の限度の数十倍でした。第2次世界大戦直後の見直しでは、年間およそ150ミリシーベルトに引き下げられます。

 そしてその後も数回の見直しがあり、放射線による身体への影響が徐々に明らかになるにしたがって、放射線量の限度が引き下げられ、現在へとつながっています。