「がん」の原因はさまざま

 

 放射線による身体への影響の中には、血が止まりづらくなったり、下痢をしたりといったものがあります。大量に放射線を浴びると誰であれ「必ず」起こるために「確定的影響」と呼ばれます。

 その一方で、放射線をたくさん浴びると「がん」になるかもしれない、というのは少しややこしく、放射線を浴びると誰であれ「必ず」がんになるということでもなければ、放射線を浴びなければ決してがんにならないということでもありません。放射線をたくさん浴びるとその量によって、「がん」になる可能性が増えるということで、「確率的影響」と表現されます。

 このことは言い換えると、多くの人全員が、たくさんの放射線を浴びれば、その中でがんを生じる方の「人数」が増えることは分かる一方で、その中でどの方が放射線によってがんになったのか、どの方がそうではなかったかを区別することはできないということになります。そもそも、放射線を浴びても浴びなくても、「がん」になることはありますし、食事、喫煙、感染症などさまざまなものが原因となります。

 このように言葉にすると、どうしても一個人にとっては白黒つけづらい回りくどい表現になります。だからこそ、今の放射線の「量」がどれぐらいの「がん」の可能性を持つのか、その規模感を知ることが大切です。