がんの原因特定できない

 

 放射線をたくさん浴びると「がん」になるかもしれない、というのは、放射線を浴びると誰であれ「必ず」がんになる、ということでもなければ、放射線を浴びなければ決してがんにならない、ということでもありません。

 放射線は確かにがんになる原因の一つですが、がんの原因は放射線以外にもたくさんあり、実際にがんが生じたとしても、さまざまな原因の中でどれか一つを特定することはできません。

 そのような中、放射線をたくさん浴びるとその量によって、「がん」になる可能性が増えると考え、「確率的影響」と表現されます。これは放射線によって、細胞の遺伝子に傷が付き(突然変異が起き)、それをきっかけとして、がんが生じる。そして、放射線をたくさん浴びるほど、その突然変異はたくさん起こる、という考え方が基本となっています。

 がん細胞は、アクセルやブレーキが壊れた制御の利かない車です。正常な細胞と異なり、アクセルが踏まれっぱなしになったり、ブレーキが壊れて踏めなくなったりする状態のため、周りと協調できず、勝手にあちらこちらで増え続けてしまいます。そのアクセルやブレーキが壊れてしまうことを、遺伝子に傷が付くとか、突然変異とか呼んだりしています。