「安全が実感できるいわきへ」 いわき中央署・復興支援課

 

 県警で初めていわき中央署にできた復興支援課。昨年4月の開設から間もなく1年を迎える。本県を含む1都1道7県の25人の警察官が配属され、仮設住宅での防犯啓発や警戒パトロールなどに従事する。

 滋賀県警の田中克弥巡査部長(41)は、仮設住宅で避難住民から問い掛けられたひと言に動揺を隠せなかった。騒音など日常の困り事について尋ねると、「いつになったら(地元に)帰れるのかね」との言葉が返ってきた。「家を失った人たちの切実な思いを感じた」と打ち明ける。腹話術の特技を持つ田中巡査部長は「福島の子どもたちに元気と安全を与えたい」と、人形「ケンちゃん」と一緒に幼稚園なども訪問、交通安全を指導した。

 警察活動を離れた交流も生まれた。いわき中央署への相談をきっかけに鹿児島県警から出向の大山貴央巡査長(27)は子どもたちに剣道を教えるようになった。同課の佐藤克彦課長は「出向で来ている警察官は被災地での活動に高い意識を持っている」と話す。日ごろの活動が事件摘発につながった例もあり、佐藤課長は「いわきは安全だと実感できる町にすることも仕事の一つ。復興の妨げとなる犯罪を防ぐことが使命だ」と気を引き締めた。