全国ボランティアフェスティバル実行委員長・中田スウラ氏に聞く

 
全国ボランティアフェスティバル実行委員長・中田スウラ氏に聞く

「ボランティアが復興の歩みを後押ししてきた」と話す中田さん

 震災、原発事故からの復興に向かう本県で求められるボランティアの在り方とは何か。11月に郡山市で開かれる「全国ボランティアフェスティバル」の実行委員長を務める中田スウラ福島大うつくしまふくしま未来支援センター長(59)に聞いた。

 --ボランティアの現状と今後の展開は。

 「原発事故がありボランティアの悩みは深かったはずだが、震災直後から大勢の人が本県で活動し、県民に勇気を与え復興の歩みを後押しした。歳月が流れる中、ボランティアの量(数)が減少するのはやむを得ない。量ではなく連携の質が求められている。新たなボランティアの活動を考えるよりも協働的な方向に転換することが期待される。被災地の人と共に考える協働的な連携へと変わっていくだろう。他の地域で暮らしながらも本県の課題を真剣に考えてくれる人が増えてくれば、それがボランティアとなる」

 --ボランティア活動の中心を担ってきたNPO団体が岐路を迎えている。

 「震災直後は被害の全貌が見えず、似たような問題に取り組む団体が多くあった。各団体が活動の枠を広げる中で、体力以上の活動を続けている団体があるかもしれない。連携が必要であり、今後の大規模災害に備え、活動のネットワークを検証するとともに県外に発信していくことが、世界から支援を受けた福島の責任と思える」

 --全国ボランティアフェスティバルへの期待は。

 「福島で活躍してきたNPO団体が一つになる大会。阪神・淡路大震災で活躍した団体の経験なども踏まえながら方向性を議論したい。全国からの支援に感謝する機会でもある。原発事故を新しい地域創造の力に変えていく姿を見せたい。震災、原発事故に福島、東北がどのように挑んだのかを歴史に刻む大会にしたい」

 なかた・すうら 東京都出身。早大大学院文学研究科博士課程満期退学。福島大人間発達文化学類教授、同学類長を経て同大学長特別補佐、うつくしまふくしま未来支援センター長などを務める。