大阪・関西万博に出展しているパレスチナが開幕前の4月、展示物の到着遅れを知らせるためブースに設置した立て札について、運営を担う日本国際博覧会協会(万博協会)が撤去を要請していたことが5日までに分かった。展示物はイスラエルの規制で到着が遅れていたという。識者は「不適切な介入だった可能性が高い」と指摘する。
駐日パレスチナ常駐総代表部のワリード・シアム代表(大使)が明らかにした。シアム氏によると、展示物は船で輸送する予定だったが、パレスチナ自治区ガザへ侵攻を続けるイスラエルから港の使用許可が出ず、航空便に切り替えたものの開幕日の4月13日に間に合わなかった。そのため開幕に備え、空の展示台に「発送はイスラエルの軍事占領のため遅れています」と書いた立て札を置いた。その後万博協会側から口頭で「問題を起こしたくない」と撤去を要請されたという。
パレスチナ側は、来場者に直接説明するため「尋ねて」と書いた立て札に差し替えた。シアム氏は「万博協会はイスラエルと、(関係が深い)米国を恐れているのだろう」と落胆した。